チケットの払戻請求権の放棄が寄附金控除の対象に

新型コロナウイルス感染症の影響により、多くのスポーツや文化の興行が中止となり、スポーツ会や文化芸能会にも大きなダメージが及んでいます。これらの事業者を少しでも救済するためにと、「チケットを払い戻さず「寄附」することにより税優遇を受けられる制度」が創設されています。

これは、所得税に元々ある「寄付金控除」と「寄付金税額控除」の制度の枠組みに、イベントチケットの払い戻しを辞退した金額相当(払戻請求権の放棄部分)のうち上限20万円までを「寄付金」として追加したものです。

「寄付金控除」と「寄付金税額控除」は選択適用ですが、年収4000万円を超える人以外は「寄付金税額控除」を適用したほうが有利なケースが多いです。

税額控除を適用した場合に控除される金額は、(寄付金額-2000円)×40%となり、10,000円の寄付金であれば、3,200円が支払うべき所得税から控除されることになり、実質の自己負担は6,800円で済むということになります。

制度の適用を受ける場合は、スポーツ庁や文化庁から指定を受けた主催者等から交付される文書を添付して、確定申告が必要です。申告をすることにより、年末調整を受けたサラリーマンであれば所得税が還付されるということになります。なお、そもそも納めている税額がなかったり、控除額以下の場合は制度の恩恵をうけられませんのでご注意が必要です。

文部科学省に掲載されている説明では、住民税からの税額控除が10%受けられるということにも触れられており、減税額の例示も10,000円の寄付で最大で4000円となっていますが、これについては、対象のイベント等が都道府県や市町村の条例で指定されることが必要です。指定について、各自治体等に送付した事務連絡資料も公開されており、この部分については今後の動きを見守る形になりそうです。

いわゆる「ふるさと納税」も同様の枠組みなのですが、所得税からの税額控除と住民税から税額控除に加えて、ふるさと納税特有の住民税の特例控除が適用されるため、一定額については100%控除となり、「実質負担額が2000円」として人気を呼んでいます。今回の制度は、所得税の控除だけですと約60%の自己負担が発生しますが、寄付の本来の趣旨からすれば自己負担は当然のことでもあり、応援したいスポーツ・文化団体への支援の敷居を下げるという意味では有意義な制度であると思います。

寄付金控除

Posted by mizuniwa